デザイン書道家として、店舗ロゴや商品パッケージ、イベントパフォーマンス、ワークショップなどを手がける安井ちあきさん。掲げている理念は「地域繁盛・地球円満」である。
言葉の背景にあるのは、自分、家族、目の前の人、地域へと笑顔の輪を広げていく考え方である。地域がにぎわい、人がその人らしく生きられる場所が増えていけば、やがて地球全体の円満にもつながっていく。
安井さんにとってアート・デザイン書道は、想いを代弁し、感動を生み、人の人生に寄り添うための表現でもある。

| ヒトカケルデザイン事務所 代表 人生を描くデザイン書道作家 安井 ちあき(千馨-senkei-) ・デザイナー(企画デザイン歴18年・書道歴28年)2026年6月現在 ・デザイン書道作家(JDCA日本デザイン書道作家協会正会員) ・キットパスアート本部認定講師(北陸唯一) 理念:地域繁盛・地球円満 |
地域から、地球へ広げていく。
その始点は、1対1の笑顔から。
「地域」は、大きな範囲を指す言葉ではありません。まず自分がいて、その近くに家族がいて、目の前の人がいる。その先に、地域があります。
「誰かを幸せにしたいなら、まず目の前の家族から」
勤めていた専門学校の研修で聞いたこの言葉が、今もずっと残っています。地域を盛り上げるというと、イベントを開くことや、お店に人を集めることをイメージするかもしれません。もちろん、それも地域繁盛の一つです。ただ、私が考えている地域繁盛は、もっと近いところから始まります。
自分の近くにいる人が笑顔になる。その人がその人らしく過ごせる場所が増えていく。その輪が地域へ広がり、さらに外へ広がっていく。水面に落ちた一滴が波紋のように広がっていくように、目の前の笑顔が少しずつ広がっていくことをイメージしています。
アートで人災は止められない。
でも、悲しみの気持ちなら止められる。
「アートで世界は救えるのか」という問いに向き合った経験があります。アートで空腹を満たすことはできません。戦争や飢餓、災害のような現実を前にしたとき、アートだけでできることには限りがあります。それでも、心に対するアプローチはできる。悲しみの中にいる人の心を少しゆるめたり、自分の中にある感情を表現するきっかけになったり、言葉では届きにくいものを伝えたりすることはできます。
世界中の問題を一度に解決することはできなくても、目の前の人が笑顔になること。その人が自分らしく表現できること。健やかに生きられる時間が少しでも増えること。
そうした小さな円満が、身近な場所から広がっていく先に、地球円満があるのだと考えています。
デザイン書道を通して、笑顔やにぎわいを生み、その人が自分らしくいられる時間をつくる。それが、私にできる地球円満への関わり方です。
身近な人の死に触れる経験が多かった。
ただ、その人らしい最期は、私には幸せに見えた。
「その人らしさ」を強く考えるきっかけには、家族や身近な人の最期に触れてきた経験があります。
お世話になった会社の会長は、認知症を患い、その後亡くなられました。ただ、その最期はとても幸せな形だったと感じます。奥様と散歩をしたり、食事に出かけたり、カラオケをしたり。今までと同じではなくても、できることを楽しみながら日々を重ねていました。亡くなるときも、病床で一緒に歌を歌いながら最期を迎えたそうです。
私の母も同じように「らしく、幸せな最期を迎えた」人です。母は脳出血で倒れました。決して順風満帆な人生ではなかったと感じます。でも、メモに「今が人生で一番最高」と書き残していたのです。この言葉は、私の中に深く残っています。
人生の最期にそう思えること。誰かと笑い合いながら、その人らしく最期を迎えられること。こういった経験を通して、私は、アート・デザイン書道を通して、ゆりかごから墓場まで、あらゆる人がその人らしく生きて、最期の時を迎えられる仕組みを作ることを目指しております。
「らしさ」が人生や地域の豊かさとなる。
私は、障がいのある方や高齢の方、子どもたちとも関わりながら、その人らしく働いたり、生きたりできる場をつくっていきたいです。
「平等と公平は違う」という話があります。平等は、子どもにも大人にも同じ踏み台を渡すこと。公平は、それぞれが壁の向こうを見られるように、必要な高さの踏み台を渡すこと。ただ、私はさらに、その人が本当に見たい景色を見られることが大事だと考えます。みんなが同じ壁の向こうを見る必要はありません。その人が見たい景色を描けること。その人らしく働き、生きられること。そこに、本当の意味での豊かさがあります。
「高齢だから、子どもだから、障がいがあるから」と区切るのではなく、その人の感性や表現が活きる働き方がある。そういう会社や仕組みが増えたら、地域はもっと面白くなります。
地域が繁盛するということは、誰か一部の人だけが成功することではありません。そこにいる人が、自分らしく生きられること。笑顔で関われること。感動が生まれること。ワクワクしながら、自分の人生を描けること。
私は、人生を描くデザイン書道作家として、目の前の人の想いを形にし、地域に笑顔とにぎわいをつくり、その感動を少しずつ世界へ広げていきたいです。「地域繁盛・地球円満」は、遠くにある大きな理想ではなく、目の前の一人を大切にするところから始まる言葉です。
自分が健やかに生き、家族や身近な人が笑顔になり、地域ににぎわいが生まれる。地球円満のために、その波紋を広げていくことが使命だと感じています。













