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一人ひとりが自分の大切な価値観を明るみに出せる社会を共感によって創る|日本エンパシー協会

一般社団法人エンパシー協会代表理事 岩村 誠司

一般社団法人エンパシー協会の代表 岩村 誠司氏が自身の経験からたどり着いたのは、怒りや不満の奥には、その人が大切にしている願いがあるという考えだった。

理念に掲げるのは「一人ひとりが自分の大切な価値観を明るみに出せる社会を共感によって創る」。その背景には、自分自身が願いを出せなかった経験と、人が安心したときに変わっていく姿を見てきた実感がある。


一般社団法人エンパシー協会代表理事 岩村 誠司
一般社団法人日本エンパシー協会
代表理事 岩村 誠司
一児の父。株式会社LITALICOにて発達障害支援に携わり、保護者向けセミナーや教員研修も実施。自身がエンパシーと出会い、人間関係や価値観に変化を得た経験から、2021年に一般社団法人エンパシー協会を設立。共感者講座やコミュニティ運営、企業のメンタルケア支援に取り組む。


【一人ひとりが自分の大切な価値観を明るみに出せる社会を共感によって創る】

対立の奥には、まだ言葉になっていない願いがある。

愚痴や不満を聞いたとき、どうすればいいのか、何を変えればいいのか。すぐに解決すること必要な場面もあります。ただ、エンパシー協会が大切にしているのは、その一段深くを見ることです。

なぜその人は嫌だったのか。何に傷ついたのか。何を大切にしているから、怒りや悲しみが生まれたのか。表に出ている言葉だけで判断せず、その奥にある心の向きに耳を澄ませます。

人は、どうでもいいことには本気で怒れません。悲しみや不満の奥には、その人が守りたいものや、本当は大切にしたかった願いがあります。共感は単なる同意ではなく、その奥にある願いを一緒に見つけていくことです。

理念にある「自分の大切な価値観を明るみに出せる社会」とは、一人ひとりが自分の願いを安全に言葉にできる社会であること。対立をなくすには、相手を黙らせるのではなく、互いの願いが見える状態をつくることが必要なのだと思います。

 

願いを伝えるのに必要なのは「共感」でした。
自分自身が願った、受け止めてもらえる場所。

私は、少し複雑な家庭環境で育ちました。自分のやりたいこと、好きなもの。伝えても無駄だと感じる時期がありました。一時期は、家族から離れる選択もしました。しかし、ある出来事をきっかけに、家族と向き合うことを決めたんです。

それから心理学を学ぶ中で、「共感」という考え方に出会いました。怒りや不安をそのまま見るのではなく、その奥にある願いや大切にしている価値観に目を向ける。自分が抱えてきた苦しさにも、言葉にできなかった願いがあったのだと気づきました。

つらい経験を重ねると、人は自分の願いを出せなくなります。何を言っても無駄だと思ったり、相手に利用されるのではないかと疑ったり。けれど、安心して受け止めてもらえる場があると、人は少しずつ本音を出せるようになります。

その実感は、発達障害や愛着障害のある子どもたちと関わる仕事でも重なりました。テクニックだけでは届かない子どもに対して、何かを教えようとする前に、その子がしたいことを一緒に続けたことがあります。すると少しずつ関係が変わり、やがて子どもの方から学びに向かう姿が見られたんです。

人は、コントロールされていると感じると心を閉ざします。反対に、自分の存在や願いを受け止めてもらえたと感じると、自分から動き出せるようになる。その経験が、「共感」を広げていきたいという思いにつながっています。

 

なにげない会話から感じた「安心できる人が増えている」感覚。

あるとき、エンパシー協会の会員が悩みを話してくれました。その話を聞いた別の会員は「わかる」と同調するのではなく、どういう気持ちだったのかを自然に聞いていました。カウンセリングのように構えるのではなく、日常の会話の中で相手の奥にある気持ちに触れようとしていたのです。

その様子に、協会が大切にしている共感の姿勢が少しずつ根づいていると感じました。エンパシー協会は、会員を何かに変えようとしているわけではありません。安心して自分の願いを出せる場所として使ってもらい、心が軽くなって自分で歩いていけるようになってほしいと考えています。

協会の中で安心して話せる経験をした人が、日常の中でも誰かの願いに目を向けられるようになる。そうした関わりが少しずつ広がっていけば、特別な場を用意しなくても、人が安心して願いを出せる社会に近づいていくのだと思います。

 

共感を社会の仕組みへと広げていく。
私たちは、そのきっかけに過ぎない。

怒りや不満の奥にある願いに気づき、自分の大切な価値観を言葉にできる人を増やすこと。それが、エンパシー協会が目指しているものです。

安心して自分の感情に向き合い、その奥にある願いに気づくことで、人は少しずつ変わっていきます。その視点が日常の会話や職場、教育の場に広がれば、対話へ変えていける場面が増えていくはずです。夫婦げんかや友人同士のすれ違い、上司と部下の関係。国と国の対立であっても、互いの願いを明るみに出すところから対話は始まるのだと思います。

そのためには、共感を学ぶ機会を増やしていくことも必要です。昨今「してはいけないこと」を学ぶ場は増えています。一方で「どう聞くのか、どう受け止めるのか、どう相手の願いに触れるのか」を学ぶ機会は、十分とはいえません。私たちは、共感によって人が変わることを知っています。だからこそ、共感を知り、学べる場をつくっていくことが必要だと考えます。

最終的には、協会が必要のない世界を目指したいです。協会がなくても、人が安心して自分の願いを出せる社会になるならば、それが本望です。共感が日常に自然と広がり、誰もが安心して願いを伝えられる。そんな世界になるように、今の活動を広げ続けていきます。

 


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一般社団法人 エンパシー協会

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